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研究項目

本領域研究が目的とする、持続可能な「モノづくり」の科学を発展させるための優れた有機分子触媒の開発、ならびに有機分子触媒を用いた効率的・革新的な触媒反応系を開拓し、有用物質の実践的な合成プロセスとして真に優れた分子変換を実現するため、3つの研究項目「A01班:触媒開発」「A02班:反応開発」「A03班:合成法開発」に携わる研究者を有機的・発展的な連携のもとで組織し領域研究を推進する。

各研究項目の概要

A01班 有機分子触媒の制御システム設計開発(触媒開発)

有機分子触媒の設計開発を主たる研究項目とし、有機分子触媒の新機能創成を図る。実験的なアプローチとともに、計算化学者との組織だった連携のもとで、触媒現象の解明、基質/触媒間の相互作用や活性化の本質を科学的に理解し、触媒設計における指導原理を確立することを目指す。

A02班 有機分子触媒による分子変換システム開発(反応開発)

有機分子触媒による新規反応開発ならびに新手法に基づく分子変換を主たる研究項目とし、これらの開発研究により多彩な分子変換を実現する。計算化学的なアプローチによる反応の機構解析を組み合わせることで、触媒反応系の合理的な構築を目指す。

A03班 有機分子触媒による実践的有用物質合成(合成法開発)

有機分子触媒を用いて実践的な有用物質合成へと応用展開することを主たる研究項目とし、A01、A02班で開発された有機分子触媒あるいは触媒反応系を駆使し、医薬品などの生理活性化合物や機能性材料などの有用物質合成へと展開する。

各研究項目の詳細

A01班 有機分子触媒の制御システム設計開発(触媒開発)

有機分子触媒の設計開発を主たる研究項目とし、①酸・塩基複合型触媒、②多酸・多塩基系複合型触媒、③酸・塩基共役系触媒、④酸化還元触媒、⑤汎用元素の特性を活用した新規有機分子触媒、など幅広く検討し、有機分子触媒の新機能創成を図る。一方で、こうした触媒の設計開発は主に実験化学者による試行錯誤のもとで進められてきた。計算化学者との組織だった連携のもとで、触媒現象の解明、基質/触媒間の相互作用や活性化の本質を科学的に理解することで、触媒設計における指導原理を確立し、無駄の多い従来の触媒開発から脱却して合理的な触媒設計の道を切り開く。また、実験的ならびに理論的に触媒現象の本質を明らかにすることで、その知的基盤をA02班の反応開発、あるいはA03班による有用物質合成に適合した触媒開発へと有機的・発展的に結びつける。

[A01班の主な研究内容]

  • 酸・塩基複合型触媒の開発
  • 多酸・多塩基系複合型触媒の開発
  • 酸・塩基共役系触媒の開発
  • 酸化還元触媒の開発
  • 汎用元素を利用した触媒開発
  • 計算化学による触媒現象の解明
  • 触媒の合理設計

[A01班のKeywords]

触媒設計・機能創出・複合型触媒・合理設計

A02班 有機分子触媒による分子変換システム開発(反応開発)

有機分子触媒による新規反応開発ならびに新手法に基づく分子変換を主たる研究項目とする。①金属を含まない有機分子触媒による新規触媒反応の開発。②多段階反応を一つの有機分子触媒で行うタンデム(ドミノ)反応の開発。③有機分子触媒により構築される特殊な反応場を利用した新たな手法に基づく分子変換の実現。④特殊な反応メディアのもとでの有機分子触媒の新機能創出。⑤金属錯体触媒や生体触媒(酵素)などの従来の触媒系と有機分子触媒とを融合したハイブリッド型触媒系の開拓。これらの開発研究により多彩な分子変換を実現する。さらに、A01班との連携により反応に即した触媒を設計開発するとともに、計算化学的なアプローチによる機構解明に基づき合理的に触媒反応系を構築し、開発した反応系をA03班の有用物質合成へと応用展開する。

[A02班の主な研究内容]

  • 新規分子変換反応の開発
  • タンデム(ドミノ)反応の開発
  • 新手法に基づく分子変換法の開発
  • 生体触媒とのハイブリッド型触媒反応
  • 金属錯体触媒とのハイブリッド型触媒反応
  • 特殊反応メディアでの機能創出
  • 計算化学による反応機構の解析
  • 触媒反応系の合理設計

[A02班のKeywords]

反応開発・連続反応・機構解明・協同触媒作用・反応メディア

A03班 有機分子触媒による実践的有用物質合成(合成法開発)

有機分子触媒を用いて実践的な有用物質合成へと応用展開することを主たる研究項目とする。A01班A02班で開発された新規有機分子触媒ならびに触媒反応系を駆使し、医薬品、農薬、天然物などの生理活性化合物、あるいは機能性材料などの有用物質の合成へと展開する。特に、弱い相互作用による活性化を特徴とする有機分子触媒は、タンデム(ドミノ)反応を基盤とするワンポット反応への展開が有望視されており、トータル効率に優れた分子変換が期待される。A01班ならびにA02班で見出された知的基盤を共有、統合化し、A03班による実践的な有用物質合成へと発展的に展開することで、合成プロセスとして真に優れた分子変換を実現する。

[A03班の主な研究内容]

  • 生理活性化合物の実践的合成
  • 医薬品・農薬の実践的合成
  • 機能性材料の実践的合成
  • キラルビルディングブロック合成
  • ワンポット合成法の開拓

[A03班のKeywords]

生理活性化合物・医薬品・機能性材料・ワンポット合成