研究概要
有機合成化学は、医薬品、農薬からファインケミカル、さらに機能性材料等の様々な有用物質の合成法を提供することにより、医学、薬学、農学、材料科学などにおける高度な「モノづくり」の原点を支える基礎的かつ重要な研究分野として大きく貢献してきた。しかし、天然資源の乏しい我が国の将来にとって、現段階の学術・技術水準に甘んじることなく、今世紀の最大命題である「希少・枯渇資源の使用回避などを目的とする元素戦略」、「持続可能な循環型社会の確立」に即した最先端の「モノづくり」の科学と技術を開発し、科学技術創造立国として、21世紀も世界的優位性を保つことが肝要である。
本新学術領域では、「有機分子触媒」をキーワードとする研究グループを組織し、有益な知的基盤を共有・統合化することで有用物質合成(医薬品、農薬、機能性材料など)におけるトータル効率(低環境負荷、省エネルギー、収率、選択性、工程数など)に優れた方法論を開発し、革新的な科学技術の開拓に基づいた「モノづくり」の新たな未来像の創出を最終的な目標とする。このため、有機分子触媒を基礎とする「A01班:触媒開発」、「A02班:反応開発」、「A03班:合成法開発」3つの研究項目を設定して「計画研究」により重点的に研究を推進する。これら研究項目に関連する2年間の研究を公募することで研究体制を強化するとともに、各項目間での緊密な連携のもとに研究を推進することで学問領域として確固たる地位を確立することを目指す。公募研究では若手研究者による新しい視点からの独創的、挑戦的提案を特に期待する。また、計算化学による触媒機能や反応機構の解析に基礎をおく取り組みも歓迎する。
[公募研究詳細] 科学研究費補助金(文部科学省)