Research

研究概要

分子変換プロセスを触媒で刷新する!

化学の原点は「ものづくり」です。21世紀を迎えた今、有機化学に求められているのは欲しいものだけを作る選択的な物質変換に加え、効率の追求による環境に配慮した高度な分子変換プロセスの開拓です。我々の研究室では有機分子や金属錯体の特性を生かした次世代分子触媒を創製することで選択性、汎用性、効率に応えうる新しい分子変換法の開拓を行っています。さらに、高度分子変換を駆使した有用物質の高効率合成へと展開することで基礎から応用まで一貫した開発研究を目指しています。

a) 水素結合を戦略的相互作用とする基質認識型キラルブレンステッド酸触媒の設計開発

ブレンステッド酸は、様々な有機合成反応において反応基質を活性化することができる代表的な触媒です。私達の研究室では、基質の活性化に加えて、水素結合という相互作用によって基質の認識を可能とする、キラルブレンステッド酸触媒の設計・開発を行っています。特に、先駆的に開発したキラルリン酸触媒を用いることによって、既存の方法では成し得なかった高効率的な分子変換を実現してきました。さらなる発展のために、現在、実験と理論計算を積極的に組み合わせることで、新たな触媒のデザインや反応の立体制御機構の解明に取り組んでいます。これまで知られていなかった有機反応の特性や分子の機能を明らかとすることで、教科書を変えるような研究の実現を目指しています。

b)ブレンステッド塩基を用いた触媒的分子変換反応の設計・開発

ブレンステッド塩基を触媒として用いる分子変換反応は有機化学における最も基本的な触媒反応の一つであり、古くから有機合成に盛んに用いられてきました。特に、最近では環境調和型の有機分子触媒反応の一つとして注目を集めています。私たちの研究室では、これまで達成が困難であった高度な分子変換を達成することを目的として、高い活性を有する強塩基性キラルブレンステッド塩基触媒の創製と新たな触媒反応系の設計開発を行っています。これまでにない高効率かつ高立体選択的な分子変換反応を開発することで、医薬品や機能性材料の開発に必要不可欠な精密有機合成ツールの提供を目指しています。

2016.5.25 東北大学理学研究科ホームページ掲載
研究成果 「新たな触媒が拓く新たな有機合成 〜"最強"の不斉有機塩基触媒による反応開発〜」

c)金属触媒による骨格転位反応を鍵とする新合成手法の開発

有機化学反応は付加・脱離・置換・異性化(転位)の4種類に分類されます。骨格転位反応とは、分子骨格を形成する共有結合(炭素-炭素、炭素-酸素、窒素-酸素など)の切断を伴う異性化反応のことであり、新しい化学結合を形成する強力な分子変換プロセスです。私達は、金属触媒を用いた斬新な骨格転位反応の開発に取り組んいます。これまでに世界に先駆けプロパルギルオキシム化合物の触媒的[2,3]転位反応やN-アルコキシアニリンの触媒的[1,3]転位反応を開発しました。この触媒的骨格転位反応により、これまでに知られていなかった(人類が手にすることができなかった)新たなヘテロ環化合物や多置換アニリン化合物が高効率的に合成することが可能になります。特にヘテロ環化合物や多置換芳香族化合物は医薬品として幅広く利用されていることから、新規触媒的骨格転位反応の開発は将来創薬に貢献できると期待しています。

d) 金属触媒による機能性分子骨格の超効率的構築法の開発

近年、有機トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)、有機薄膜太陽電池などの有機エレクトロニクスの急速な発展に伴い、新たなπ電子系光電子機能物質の開発研究の重要性は益々高まっています。特に、高度に拡張したπ共役縮環骨格において分子間相互作用が大きくなることと、縮環形式や長さなどの僅かな違いにより、特異な電子・光学的特性を示すことから、構造多様性と優れた光電子機能を備えたπ共役縮環化合物の設計および合成は光電子材料の更なる発展に極めて重要な研究課題です。私達は、これまで新反応、新奇な構造、優れた発光および電荷輸送機能を有するπ拡張縮環骨格の構築を行ってきました。これまで合成困難であった新しいπ電子系物質の設計・合成は有機エレクトロニクス分野に新たな機能物質群の提供と光電子機能性分子の開発に新たな方向性を明確に示すことができます。


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